失業手当・住民税・国保・貯金の推移を1分で見える化

退職後の住民税・国保・年金の手続きガイド
|保険料が安くなる減免制度も【2026年版】

公開日:2026年7月14日 | 最終更新:2026年8月16日

退職すると、会社が代行してくれていた税金と社会保険の手続きが、すべて自分の仕事になります。しかも待ってくれません——健康保険と年金の切り替えは退職日の翌日から14日以内が原則です。この記事では、まず「収入がゼロでも毎月いくら出ていくのか」を当サイトの計算ロジックで試算した数字で示し、そのうえで自分に必要な手続きだけを絞り込めるように整理しました。

この記事の要点
  • 前年収入400万円・39歳以下の単身なら、退職後に払う住民税+国保+国民年金は月約5.6万円(当サイト試算)。収入がゼロでも出ていく
  • 同じ条件でも会社都合退職なら国保軽減が効いて月約4.1万円。年間で約18万円の差がつくが、届出しなければ適用されない
  • 健康保険の切り替えは14日以内(任意継続は20日以内)。任意継続は令和4年1月から本人の申出でやめられるようになった
この記事でわかること
  1. 退職後、毎月いくら出ていくのか(前年収入別の試算)
  2. 自分に必要な手続きはどれか(3つの分岐)
  3. 健康保険は国保・任意継続・扶養のどれを選ぶか
  4. 年金と住民税で気をつけること
  5. 保険料を下げる2つの制度
  6. 窓口で詰まりやすいポイント
  7. よくある誤解の訂正
  8. 確定申告で戻ってくるお金

収入がゼロでも、毎月いくら出ていくのか

公的機関が公表しているのは料率や算定のルールまでで、「自分の場合に月いくらになるか」は自分で計算しないとわかりません。以下は当サイトのシミュレーターと同じ計算式(令和8年度の国民年金保険料17,920円、住民税は所得割10%+均等割6,000円、国保は全国平均的な料率の概算モデル)で、前年収入だけを変えて試算した結果です。いずれも単身・扶養家族なしを前提にしています。

39歳以下(介護保険料なし)の場合

前年の年収住民税国民健康保険国民年金月の合計会社都合なら
250万円7,604円14,400円17,920円39,924円30,669円
300万円9,917円17,171円17,920円45,008円33,814円
400万円14,875円23,029円17,920円55,824円40,529円
500万円20,333円29,363円17,920円67,616円47,887円
600万円25,792円35,696円17,920円79,408円55,246円
700万円31,583円42,346円17,920円91,849円63,032円

40〜64歳(介護保険料が上乗せされる)の場合

前年の年収住民税国民健康保険国民年金月の合計会社都合なら
250万円7,604円17,883円17,920円43,407円32,204円
300万円9,917円21,238円17,920円49,075円35,524円
400万円14,875円28,329円17,920円61,124円42,609円
500万円20,333円35,996円17,920円74,249円50,367円
600万円25,792円43,663円17,920円87,375円58,126円
700万円31,583円51,713円17,920円101,216円66,332円

この数字から読み取れることを3つ挙げます。

※国保の保険料率と均等割額は市区町村ごとに大きく異なるため、上表は全国平均的な水準を置いた概算です。実額はお住まいの自治体で確認してください。あなた自身の条件(貯金・退職金・生活費を含む24ヶ月の推移)での試算はトップページのシミュレーターから行えます。

自分に必要な手続きはどれか——3つの質問で絞り込む

退職後の手続きは全員が同じではありません。次の表で自分の行に当たるところだけ読めば足ります。

あなたの状況健康保険年金住民税
空白期間なく転職先へ入社する新しい会社が手続き(自分では不要)新しい会社が手続き(第2号のまま)新旧の会社に依頼すれば天引きを継続できる
転職先は決まっているが入社まで日が空く国保か任意継続に一時加入国民年金第1号へ切替納付書で自分で払う
次が未定。失業手当の日額が3,612円以上国保か任意継続(家族の扶養には入れない)国民年金第1号へ切替納付書で自分で払う
次が未定。失業手当の日額が3,611円以下、または受給しない家族の健康保険の扶養に入れる可能性あり配偶者の扶養なら第3号納付書で自分で払う
会社都合・特定理由離職者にあたる国保+非自発的失業者軽減の届出退職(失業)特例免除を申請減免の可否を窓口で相談

3,612円という基準は、健康保険の被扶養者の収入要件である年130万円を360日で割った金額(3,611.11円)から来ています。失業手当の日額がこれ以上だと「年収130万円以上のペースで収入がある」とみなされ、扶養に入れません。日額がいくらになるかはシミュレーターで計算できます。扶養の条件そのものについては退職後に家族の扶養に入る条件で詳しく整理しています。

期限手続き窓口
14日以内国民健康保険への加入市区町村
20日以内任意継続の申出(選ぶ場合)協会けんぽ・健保組合
14日以内国民年金への切り替え(第1号被保険者)市区町村・年金事務所
離職票が届き次第失業手当の申請ハローワーク
納付書が届き次第住民税の納付(普通徴収)市区町村
翌年2〜3月確定申告(税金の還付)税務署・e-Tax

健康保険は国保・任意継続・扶養のどれを選ぶか

日本は国民皆保険なので、退職の翌日から無保険にはできません。選択肢は3つあり、それぞれ期限も保険料の決まり方も違います。

国民健康保険任意継続家族の扶養
期限14日以内20日以内(厳格)速やかに
保険料前年所得+加入人数で算定在職時の約2倍(上限あり)0円
家族が増えると1人ごとに均等割が加算何人でも保険料は同じ
軽減制度非自発的失業者軽減ありなし
やめ方他の保険に入るとき申出により翌月1日に喪失収入要件を超えたら外れる

任意継続の保険料には上限があります。協会けんぽの場合、令和8年度の任意継続被保険者の標準報酬月額の上限は32万円(令和7年度から据え置き)で、在職時の報酬がこれを超えていた人はこの32万円を基準に計算されます。前年収入が高かった人ほど、任意継続のほうが国保より安くなりやすいのはこのためです。逆に、扶養家族がいない単身で前年収入が低めなら国保が有利になりがちです。どちらが安いかの比較は任意継続と国保はどっちが安いかで条件別に整理しています。

手続きが遅れて保険証がない期間に病院にかかると、いったん医療費の全額(10割)を自己負担することになります。国保は加入手続きが遅れても保険料は退職日の翌日まで遡って請求されるため、「入らずに節約」はできません。

年金の切り替えで見落としやすいのは配偶者の分

会社員時代の厚生年金(第2号被保険者)から、国民年金(第1号被保険者)への種別変更を市区町村の窓口または年金事務所で行います。令和8年度の国民年金保険料は月17,920円です。

配偶者を扶養に入れていた場合は要注意です。あなたの退職により配偶者は第3号被保険者ではなくなるため、配偶者も同時に第1号への切り替えが必要になります。つまり月17,920円が2人分、月35,840円に増えるということです。前掲の試算表は単身前提なので、配偶者がいる場合はこの分を上乗せして考えてください。

住民税は「退職しても止まらない」うえ、翌年もう一度来る

住民税は前年の所得に対して課税される後払いの税金です。退職して収入がなくなっても、働いていた期間の所得に対する請求は続きます。

さらに、退職した年の所得に対する住民税は翌年6月に請求されます。「無職2年目の住民税」は多くの人が想定していない出費です。なお、退職した年の所得が少なければ、翌々年度は住民税が非課税になることもあります(住民税非課税世帯になる条件を参照)。

保険料を下げる2つの制度は、申請しないと1円も安くならない

① 国保の「非自発的失業者軽減」——前年の給与所得を30%として計算

倒産・解雇・雇い止めなどで離職した65歳未満の人(雇用保険の特定受給資格者・特定理由離職者)は、国民健康保険料が前年の給与所得を100分の30として計算されます。所得割部分が実質7割引になる制度で、高額療養費の所得区分の判定にも同じ扱いが適用されます。対象期間は離職日の翌日が属する月から、その月が属する年度の翌年度末までです。

冒頭の試算表の「会社都合なら」の列が、この軽減を適用した金額です。前年400万円・39歳以下で年183,540円、前年700万円・40〜64歳なら年418,600円の差になります。

自動では適用されません。雇用保険受給資格者証(または受給資格通知)を持って、市区町村の国保窓口で届出が必要です。

② 国民年金の「退職(失業)による特例免除」

通常の年金免除は前年所得で判定されますが、退職者には本人の前年所得を除外して判定する特例があります。前年の収入が高くても全額免除の審査を受けられるのがこの制度の要点です。承認されれば免除期間も年金の受給資格期間に算入されます(受け取れる年金額には一部のみ反映)。離職票または雇用保険受給資格者証を持って、市区町村または年金事務所で申請します。

免除された分は10年以内なら追納できます。ただし免除の承認を受けた年度の翌年度から数えて3年度目以降に追納する場合、当時の保険料額に経過期間に応じた加算額が上乗せされます。再就職して余裕ができたら、早めに追納したほうが総額は少なくて済みます。

「対象かどうかわからない」場合も、窓口で「退職したのですが軽減や免除の対象になりますか」と聞くだけの価値は十分あります。年間で10万円台〜40万円台が動く話です。

窓口で詰まりやすい5つのポイント

こう思われがちだが、実際は違うこと

「任意継続は一度入ったら2年間やめられない」

かつてはそうでしたが、令和4年1月の健康保険法改正で「本人の申出による資格喪失」が追加されました。申出が受理された月の翌月1日に資格を失うので、たとえば国保のほうが安くなる年度から切り替える、といった判断ができます。

「保険料が安いほうを選べばいいだけ」

金額だけの比較では判断を誤ることがあります。任意継続は扶養家族が何人いても保険料が変わらない一方、国保は加入する人数分の均等割がかかります。配偶者と子どもを扶養している人は、単純な本人分の比較では任意継続の割高さが実態より大きく見えます。

「会社都合で辞めたのだから国保は自動的に安くなる」

なりません。前述のとおり届出が必要です。届出をしないまま通常の保険料を払い続けても、市区町村から「軽減の対象ですよ」と教えてくれるとは限りません。

「免除された年金は払わなくていいのだから得」

未納にはならず受給資格期間には算入されますが、その分だけ将来受け取れる年金額は減ります。免除は「猶予」に近いもので、負担が消えるわけではありません。

「失業手当をもらったら確定申告が必要」

逆です。失業手当は非課税なので申告する収入に含めません。むしろ年の途中で退職して再就職しなかった人は、申告すると税金が戻るケースがほとんどです。

確定申告で戻ってくるお金(翌年2〜3月)

年の途中で退職して年内に再就職しなかった場合、給与から源泉徴収されていた所得税は「1年間働く前提」で多めに天引きされたままです。年末調整を受けていないため、確定申告をするとほとんどの場合、税金が戻ってきます

必要なのは退職した会社の源泉徴収票です。あわせて、退職後に自分で払った国民健康保険料・国民年金保険料・任意継続の保険料は全額が社会保険料控除の対象になります。冒頭の試算表のとおり、これらは年間で数十万円になる金額です。申告に含めれば、その分だけ所得税と翌年の住民税が下がります。e-Taxならスマホだけで完結します。

住民税・国保・年金、あなたの場合の請求額は?
退職シミュレーターで無料計算する
会社都合の場合の国保軽減も自動で反映。貯金の推移までまとめてわかります。
この記事は2026年8月時点の制度に基づく一般的な解説です。記事内の試算は全国平均的な水準を置いた概算モデルによるもので、国保の保険料率・均等割額は市区町村ごとに異なります。減免の可否や正確な金額は各窓口でご確認ください。