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退職金にかかる税金はいくら?
——退職所得控除の計算方法をわかりやすく解説【2026年版】

公開日:2026年7月15日 | この記事は2026年7月時点の制度に基づいています

退職金には所得税・住民税がかかりますが、給与よりもかなり優遇された計算方法(分離課税+退職所得控除+1/2課税)が使われています。とはいえ、勤続年数や受け取り方によって手取りは変わりますし、2026年からはiDeCoなど確定拠出年金を受け取っている人向けの改正も始まっています。この記事では、退職金にかかる税金の仕組みと計算方法を順番に解説します。

この記事の要点
  • 退職金は分離課税で「退職所得控除を引いた残りの1/2にだけ課税」される優遇された仕組み。控除額の範囲内なら税金はかからない
  • 退職所得控除は勤続20年以下で年40万円(最低80万円)、20年を超えた分は年70万円で計算される
  • 「退職所得の受給に関する申告書」を会社に出さないと一律20.42%が源泉徴収される(確定申告で精算可能)
この記事でわかること
  1. 退職金の税金が優遇されている仕組み
  2. 退職所得控除額の計算方法(勤続年数早見表)
  3. 実際に手取りがいくらになるかの計算例
  4. 「退職所得の受給に関する申告書」を出し忘れるとどうなるか
  5. 住民税の計算方法
  6. 2026年施行のiDeCo関連の改正点

退職金の税金は、なぜ優遇されているのか

退職金は「長年の勤労に対する報償」であり、老後の生活資金としての性格も強いことから、税制上は他の所得と分離して計算する分離課税が採用されています。さらに、勤続年数に応じた退職所得控除を差し引いたうえで、残りの金額をさらに1/2にするという二段構えの優遇があります。結果として、同じ金額を給与としてもらうよりも、退職金として受け取るほうが税負担はかなり軽くなります。

退職所得控除額の計算方法

退職所得控除額は勤続年数によって次のように計算します(1年未満の端数は1年に切り上げ)。

勤続年数退職所得控除額
5年200万円
10年400万円
15年600万円
20年800万円
25年1,150万円
30年1,500万円
35年1,850万円
38年2,060万円
控除額は「勤続年数が長いほど1年あたりの単価が上がる」設計です。20年を境に単価が40万円→70万円に上がるため、勤続20年前後で退職時期を検討している人は、この境目を意識すると控除額が大きく変わります。

退職所得の金額の出し方——原則は1/2課税

実際に課税対象となる「退職所得の金額」は、原則として次の式で計算します。

退職所得の金額 =(退職金の収入金額 − 退職所得控除額)× 1/2

計算例:勤続30年・退職金2,000万円の場合

2,000万円受け取っても、課税対象になるのは250万円だけということになります。この250万円に対して、通常の所得税の税率表(超過累進税率)と復興特別所得税(2.1%)を適用して所得税額を計算し、住民税は後述の方法で別途計算します。

1/2課税には例外があります。役員等としての勤続年数が5年以下の役員退職金(特定役員退職手当等)は1/2課税が適用されません。また、役員等ではなくても勤続5年以下で受け取る退職金(短期退職手当等)は、退職所得控除後の金額のうち300万円を超える部分には1/2課税が適用されません。短期間の勤務で退職金を受け取る人は注意してください。

「退職所得の受給に関する申告書」を出し忘れると一律20.42%源泉徴収に

退職金を受け取る際は、勤務先に「退職所得の受給に関する申告書」を提出するのが原則です。これを提出すれば、勤務先が退職所得控除や1/2課税を反映した正しい税額を計算して源泉徴収してくれるため、多くの場合は確定申告が不要になります。

この申告書を提出しなかった場合は、退職所得控除も1/2課税も適用されず、退職金の収入金額に対して一律20.42%(所得税+復興特別所得税)が源泉徴収されます。本来の税額より多く引かれてしまうケースがほとんどなので、その場合は翌年に確定申告をすれば納めすぎた分が還付されます。申告書を出したかどうか記憶が曖昧なら、退職金の源泉徴収票で税率を確認してみましょう。

住民税もかかる——税率は一律10%

退職所得には住民税(市町村民税6%+道府県民税4%=合計10%)もかかります。所得税と同じ「(収入金額−退職所得控除額)×1/2」で計算した退職所得の金額に10%を掛け、1,000円未満の端数を切り捨てた金額が住民税額です。先ほどの計算例(退職所得250万円)であれば、住民税は250万円×10%=25万円となります。住民税は退職金の支払い時に勤務先が天引き(特別徴収)するため、給与の住民税のように翌年自分で納付する必要はありません。

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【2026年の改正】iDeCo・企業型DCを受け取っている人は要注意

令和7年度税制改正により、2026年(令和8年)1月1日以後にiDeCoや企業型確定拠出年金(DC)の一時金を受け取り、同日以後に勤務先の退職金を受け取る場合の調整ルールが変わりました。

DC一時金と退職金の両方を一時金で受け取る場合、退職所得控除額が重複しないよう勤続年数を調整する仕組みがありますが、この調整の対象となる期間が「前年以前4年内」から「前年以前9年内」に延長されました。たとえば60歳でiDeCoの一時金を受け取り、65歳で勤務先の退職金を受け取るような従来型のプランでは、控除額が調整されて減額される可能性があります。両方で控除を満額使いたい場合は、受け取り時期を10年以上空けるなど、より慎重な設計が必要です。iDeCoの受け取り方を検討中の方は、事前に金融機関や税務署、社会保険労務士などの専門家に相談することをおすすめします。

まとめ

この記事は2026年7月時点の制度に基づく一般的な解説です。実際の税額は個別の状況によって異なりますので、正確な金額は勤務先の担当部署、税務署、または税理士にご確認ください。