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退職金にかかる税金はいくら?
|退職所得控除の計算方法をわかりやすく解説【2026年版】

公開日:2026年7月15日 | 最終更新:2026年10月18日

退職金には所得税・住民税がかかりますが、給与よりもかなり優遇された計算方法(分離課税+退職所得控除+1/2課税)が使われています。とはいえ、勤続年数や受け取り方によって手取りは変わりますし、2026年からはiDeCoなど確定拠出年金を受け取っている人向けの改正も始まっています。この記事では、まず勤続年数と金額の組み合わせごとの手取りを示し、そのあとで計算の仕組みと、確定申告をしたほうがいい人を見分ける方法を説明します。

この記事の要点
  • 退職金は分離課税で「退職所得控除を引いた残りの1/2にだけ課税」される優遇された仕組み。控除額の範囲内なら税金はかからない
  • 勤続10年・1,000万円なら税金は所得税・住民税あわせて約51万円で、手取りは約949万円。勤続30年・2,000万円なら税金は約41万円(退職金の約2%)
  • 勤続5年以下と20年以下は境目。勤続5年・800万円と6年・800万円では、税金が約47万円違う
  • 「退職所得の受給に関する申告書」を会社に出さないと一律20.42%が源泉徴収される(確定申告で精算可能)。出していても、年の前半に辞めた人は確定申告で所得税が戻ることがある
この記事でわかること
  1. 勤続年数×退職金額ごとの手取り早見表
  2. 退職所得控除はいくら?(勤続年数別)
  3. 控除を引いた残りはどう課税される?
  4. 辞める時期が1年違うと税金はどれだけ変わる?
  5. 申告書を出し忘れたら?
  6. 退職した年は確定申告で所得税が戻ることがある
  7. 住民税はいくら引かれる?
  8. 確定申告は必要?状況別の早見表
  9. 退職金の税金でよくある5つの誤解
  10. 2026年施行のiDeCo・企業型DCの改正点

勤続年数と金額で、手取りはいくらになる?

当サイトが国税庁の計算方法(退職所得控除→1/2課税→所得税の速算表)で、勤続年数と退職金額の組み合わせごとに税額を計算した結果です。いちばん右の列は、トップページの退職シミュレーターの「退職金など一時収入(手取り額)」欄にそのまま入れられる金額です。

勤続年数退職金(額面)退職所得控除課税される退職所得所得税住民税手取りシミュレーターに入れる額
3年100万円120万円0円0円0円100万円100万円
5年300万円200万円50万円25,525円50,000円2,924,475円292万円
10年500万円400万円50万円25,525円50,000円4,924,475円492万円
10年1,000万円400万円300万円206,752円300,000円9,493,248円949万円
15年800万円600万円100万円51,050円100,000円7,848,950円784万円
20年1,500万円800万円350万円278,222円350,000円14,371,778円1,437万円
25年1,500万円1,150万円175万円89,337円175,000円14,735,663円1,473万円
30年2,000万円1,500万円250万円155,702円250,000円19,594,298円1,959万円
38年2,500万円2,060万円220万円125,072円220,000円24,654,928円2,465万円
38年3,000万円2,060万円470万円523,262円470,000円29,006,738円2,900万円

前提:役員ではない人の退職金で、「退職所得の受給に関する申告書」を提出済み、ほかに同じ年や過去に受け取った退職金・iDeCo等の一時金はなし。所得税は復興特別所得税(2.1%)込み、住民税は市町村民税6%・道府県民税4%を別々に計算。金額は計算のための例示で、退職金の相場を示すものではありません。

表から読み取れるのは、同じ1,500万円でも勤続20年と25年では税金が約36万円違う(628,222円と264,337円)ことです。税額を決めるのは退職金の額そのものより、「控除額をどれだけ超えたか」です。多くのケースで税金は退職金の1〜5%程度に収まり、控除額を大きく超えたときだけ負担が重くなります。

シミュレーターには額面ではなく手取り額を入れてください。退職金の税金は支払い時に天引きされているため、受け取った額がそのまま貯金に加わります。失業手当・国保・住民税とあわせて、貯金が何か月もつかが確認できます。

退職所得控除はいくら?——勤続年数だけで決まる

退職所得控除額は勤続年数によって次のように計算します(1年未満の端数は1年に切り上げ)。

勤続年数退職所得控除額
5年200万円
10年400万円
15年600万円
20年800万円
25年1,150万円
30年1,500万円
35年1,850万円
38年2,060万円
控除額は「勤続年数が長いほど1年あたりの単価が上がる」設計です。20年を境に単価が40万円→70万円に上がるため、勤続20年前後で退職時期を検討している人は、この境目を意識すると控除額が大きく変わります。

給与と違って退職金の税金が軽いのは、退職金が長年の勤労への報償で老後の生活資金でもあることから、ほかの所得と切り離して計算する分離課税とされ、そのうえ退職所得控除と1/2課税という二段の軽減があるためです。

控除を引いた残りはどう課税される?——原則は1/2

実際に課税対象となる「退職所得の金額」は、原則として次の式で計算します。

退職所得の金額 =(退職金の収入金額 − 退職所得控除額)× 1/2

計算例:勤続30年・退職金2,000万円の場合

2,000万円受け取っても、課税対象になるのは250万円だけということになります。この250万円に対して、通常の所得税の税率表(超過累進税率)と復興特別所得税(2.1%)を適用して所得税額を計算し、住民税は後述の方法で別途計算します。

1/2課税には例外があります。役員等としての勤続年数が5年以下の役員退職金(特定役員退職手当等)は1/2課税が適用されません。また、役員等ではなくても勤続5年以下で受け取る退職金(短期退職手当等)は、退職所得控除後の金額のうち300万円を超える部分には1/2課税が適用されません。短期間の勤務で退職金を受け取る人は注意してください。

辞める時期が1年違うと、税金はどれだけ変わる?

勤続年数は1年未満の端数を1年に切り上げて数えます。在籍期間が5年を1日でも超えれば勤続6年、19年を1日でも超えれば勤続20年です。この切り上げと、上で説明した「勤続5年以下」「勤続20年超」の2つの境目が重なるところで、税額が大きく動きます。退職金の額を同じにして、勤続年数だけを変えて計算しました。

退職金勤続年数退職所得控除課税される退職所得税金の合計1年前との差
800万円5年200万円450万円
(300万円超の部分は1/2にならない)
932,422円―
800万円6年240万円280万円466,332円約47万円少ない
1,000万円19年760万円120万円181,260円―
1,000万円20年800万円100万円151,050円約3万円少ない
1,000万円21年870万円65万円98,182円約5万円少ない

税金の合計は所得税(復興特別所得税込み)と住民税の合計。前提は手取り早見表と同じです。

差がいちばん大きいのは勤続5年と6年の境目です。勤続5年以下の退職金(短期退職手当等)は、控除後の金額のうち300万円を超える部分が1/2にならないため、控除後の金額が300万円を超える退職金を受け取る人ほど影響が出ます。勤続20年の境目は、21年目以降の控除が年70万円に増えるという形で効いてきます。

退職金の額そのものも、会社の退職金規程で勤続年数や退職理由によって変わるのが一般的です。税金の差だけで退職日を決めず、規程上の支給額と辞める月の給与・賞与もあわせて確認してください。退職月による住民税や社会保険料の違いは「退職前にやることチェックリスト」にまとめています。

「退職所得の受給に関する申告書」を出し忘れたら?

退職金を受け取る際は、勤務先に「退職所得の受給に関する申告書」を提出するのが原則です。これを提出すれば、勤務先が退職所得控除や1/2課税を反映した正しい税額を計算して源泉徴収してくれるため、多くの場合は確定申告が不要になります。

この申告書を提出しなかった場合は、退職所得控除も1/2課税も適用されず、退職金の収入金額に対して一律20.42%(所得税+復興特別所得税)が源泉徴収されます。本来の税額より多く引かれてしまうケースがほとんどなので、その場合は翌年に確定申告をすれば納めすぎた分が還付されます。申告書を出したかどうか記憶が曖昧なら、退職金の源泉徴収票で税率を確認してみましょう。

申告書を出していても、退職した年は確定申告で戻ることがある

ここまでの説明どおり、申告書を出していれば源泉徴収だけで完結します。ただし年の途中で退職した人には、確定申告をすると退職金の源泉所得税が戻ってくるケースがあります。あまり知られていない仕組みなので、順を追って説明します。

勤務先が源泉徴収する際に反映されるのは、退職所得控除と1/2課税だけです。基礎控除や社会保険料控除といった所得控除は一切反映されていません。一方で所得税法第87条は、所得控除を「総所得金額から差し引き、引ききれない残額は退職所得金額から差し引く」という順序で使うと定めています。

ここで効いてくるのが、退職した年は給与収入が中途半端に少ないという事情です。1年分の給与がないので所得控除を使い切れず、余った控除が退職所得のほうへ回ります。ところが源泉徴収の時点ではその分が引かれていないため、確定申告をして初めて精算され、差額が還付されるというわけです。

2026年に退職した人は、戻る額が去年までより増えます

令和8年度税制改正(令和8年分以後の所得税に適用)で基礎控除が最大104万円に引き上げられたため、「余る所得控除」そのものが大きくなりました。同じ条件で改正前後を比べます。

項目2025年に退職(令和7年分)2026年に退職(令和8年分)
退職所得(退職金1,000万円・勤続10年)300万円300万円
1〜3月の給与収入100万円 → 給与所得35万円26万円
基礎控除88万円104万円
社会保険料控除(退職後に払った国保・国民年金)25万円25万円
給与所得で使い切れず余る控除78万円103万円
課税退職所得(余った控除を差し引いた後)222万円197万円
源泉徴収された所得税206,752円206,752円
確定申告後の税額127,114円101,589円
還付される金額約79,600円約105,100円

当サイトが国税庁の速算表と令和8年度税制改正後の控除額に基づいて試算した概算です。扶養控除・生命保険料控除・医療費控除などがある場合は、余る控除がさらに増えて還付額も大きくなります。給与から源泉徴収されていた所得税がある場合は、それも別途還付の対象になります。

どんな人が戻る?——給与収入が少ないほど大きい

還付されるかどうかは、退職した年の給与収入で所得控除を使い切ってしまうかどうかで決まります。給与が多い年に辞めた人は控除が余らないので、戻りません。

退職した年の給与収入退職金・勤続年数余る控除還付される金額
100万円(3月末退職)1,000万円・10年103万円約105,100円
150万円(5月末退職)600万円・10年53万円約27,000円
200万円(6月末退職)1,000万円・10年3万円約3,000円
200万円(6月末退職)2,000万円・25年0円0円(戻らない)

社会保険料は25〜30万円として試算。年の後半まで働いた人ほど給与で控除を使い切るため、還付は小さくなります。

確定申告が必要かどうか迷ったら、退職金の源泉徴収票と給与の源泉徴収票を用意して、国税庁の確定申告書等作成コーナーに両方を入力してみてください。還付額が出るかどうかがその場でわかります。申告して不利になることはありません。
還付されるのは所得税だけです。次に説明するとおり、退職所得の住民税は所得控除が適用されない分離課税なので、確定申告をしても住民税は戻りません。また、還付を受けるための確定申告は退職した年の翌年1月1日から5年間できるので、期限に間に合わなくても諦めないでください。

住民税はいくら引かれる?——退職所得の一律10%

退職所得には住民税(市町村民税6%+道府県民税4%=合計10%)もかかります。所得税と同じ「(収入金額−退職所得控除額)×1/2」で計算した退職所得の金額(1,000円未満切り捨て)に、市町村民税6%・道府県民税4%をそれぞれ掛けて(100円未満切り捨て)合計した金額が住民税額です。先ほどの計算例(退職所得250万円)であれば、住民税は250万円×10%=25万円となります。住民税は退職金の支払い時に勤務先が天引き(特別徴収)するため、給与の住民税のように翌年自分で納付する必要はありません。

確定申告は必要?——状況別の早見表

退職金の源泉徴収票を手元に置いて、上から順に当てはまる行を探してください。「源泉徴収税額」が「支払金額」のちょうど20.42%(1円未満切り捨て)になっていれば、申告書が出ていなかったサインです。

あなたの状況確定申告理由
源泉徴収税額が支払金額の20.42%になっている(申告書を出していない)したほうがいい退職所得控除も1/2課税も反映されていないため、多くの場合は払いすぎ。申告で正しい税額に精算される
源泉徴収税額が0円(退職金が退職所得控除の範囲内)退職金の分は不要戻る税金がない。給与から引かれた所得税が戻るかどうかは別に確認する
申告書を出した。年の途中で辞め、その年は再就職していない(給与収入がおおむね200万円以下)したほうがいい給与で使い切れなかった基礎控除・社会保険料控除が退職所得から引かれ、所得税が戻る(上の還付表)
申告書を出した。年内に再就職し、新しい勤務先で年末調整を受けた多くの場合は不要前職と新しい勤務先の給与を合わせた収入で控除を使い切っていれば、余る控除がない。合計の給与収入が少ないときは上の行と同じく戻る可能性がある
申告書を出した。その年の給与収入がおおむね200万円を超えている(年の後半まで働いたなど)退職金の分はほぼ不要給与で控除を使い切るため、退職金の税金は戻らないことが多い。年末調整を受けていなければ、給与の所得税の還付のための申告は検討する
退職金が大きい人は、所得税の基礎控除が小さくなる点に注意してください。基礎控除の額を決める「合計所得金額」には退職所得も含まれ、令和8年分は合計所得489万円以下なら104万円、489万円超655万円以下なら67万円、655万円超2,350万円以下なら62万円です。たとえば勤続38年・3,000万円(退職所得470万円)を受け取り、その年の給与収入が100万円(給与所得26万円)なら、合計所得は496万円で基礎控除は67万円になります。それでも余る控除が退職所得から引かれるので、社会保険料控除を25万円とすると還付は約13万円になります(当サイト試算)。

退職金の税金でよくある5つの誤解

「退職金をもらった年は、給与と合算されて税率が上がる」

上がりません。退職金は給与と切り離して計算する分離課税なので、給与の税率には影響しません。退職金の税額は、退職金だけで計算した「課税される退職所得」に速算表を当てはめて決まります。ただし上の早見表の注意書きのとおり、所得税の基礎控除の額を決める合計所得金額には退職所得も入るため、退職金が大きいと確定申告で使える基礎控除が減ることはあります。

「勤続年数は、満で何年働いたかで数える」

1年未満の端数は1日でも1年に切り上げます。勤続19年2か月なら20年として計算するので、退職所得控除は760万円ではなく800万円です。在籍期間を正確に把握していないと、控除額を少なく見積もってしまいます。

「退職金をもらうと、翌年の住民税や国保の保険料が高くなる」

退職金の住民税は支払い時に天引きされて完結する仕組みなので、翌年度の住民税の計算には退職金は入りません。国民健康保険料も、保険料の計算のもとになる所得に退職所得を含めない扱いの市区町村が一般的です(たとえば東京都新宿区は、保険料の計算に使う「総所得金額等」に退職所得を含まないと案内しています)。ただし、所得が急に減った人向けの保険料の減免では、退職金を見込み所得に含めて判定する市区町村もあります。退職した翌年に住民税や国保が高く感じるのは、退職金ではなく退職前の給与に対してかかるためです。いくらになるかは「退職後の住民税・国保・年金の手続きガイド」で確認できます。

「家族の扶養に入っている人が退職金をもらっても、扶養には関係ない」

所得税では関係します。扶養控除や配偶者控除の判定に使う合計所得金額には退職所得も含まれるため、令和8年分は退職所得が62万円を超えると、その年は所得税の扶養控除・配偶者控除の対象から外れます(配偶者なら配偶者特別控除に切り替わることがあります)。たとえばパートで15年勤めた配偶者が退職金800万円を受け取ると、退職所得は100万円になります。一方、住民税では令和4年度分から、分離課税の退職所得を扶養の判定に含めない扱いになっています。健康保険の扶養は税金とは別の基準で決まるので、「退職後に家族の扶養に入る条件」をあわせて確認してください。

「退職金があると、失業手当が減る(もらえない)」

減りません。失業手当(基本手当)の日額は、離職前6か月に毎月決まって支払われた賃金の合計を180で割った賃金日額から計算し、賞与や臨時に支払われるものは含めません。退職金を受け取ったことで日額が増えたり減ったりすることも、受給できなくなることもありません。退職金と失業手当を両方受け取りながら、貯金がどう推移するかはシミュレーターで確認できます。

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iDeCo・企業型DCの一時金も受け取る人は?——2026年からの「9年内」ルール

令和7年度税制改正により、2026年(令和8年)1月1日以後にiDeCoや企業型確定拠出年金(DC)の一時金を受け取り、同日以後に勤務先の退職金を受け取る場合の調整ルールが変わりました。

DC一時金と退職金の両方を一時金で受け取る場合、退職所得控除額が重複しないよう勤続年数を調整する仕組みがありますが、この調整の対象となる期間が「前年以前4年内」から「前年以前9年内」に延長されました。たとえば60歳でiDeCoの一時金を受け取り、65歳で勤務先の退職金を受け取るような従来型のプランでは、控除額が調整されて減額される可能性があります。両方で控除を満額使いたい場合は、受け取り時期を10年以上空けるなど、より慎重な設計が必要です。iDeCoの受け取り方を検討中の方は、事前に金融機関や税務署、社会保険労務士などの専門家に相談することをおすすめします。

なお、調整の対象は「DCの一時金を先に、勤務先の退職金を後に」受け取る順番の場合の期間です。会社の企業型DCを退職時にどう扱うか(移換・iDeCoへの移行・一時金の受け取り)は「企業型DCは退職したらどうなる?」で、手続きの期限とあわせて説明しています。

参考・出典

この記事は2026年10月時点の制度に基づく一般的な解説です。記事中の還付額の試算は当サイトが国税庁の速算表と令和8年分の控除額に基づいて計算した概算であり、実際の税額・還付額は扶養控除や生命保険料控除など個別の状況によって異なります。正確な金額は勤務先の担当部署、税務署、または税理士にご確認ください。