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住民税非課税世帯になる条件|退職後のメリット【2026年版】

公開日:2026年8月12日 | 最終更新:2026年8月16日

給付金のニュースなどでよく耳にする「住民税非課税世帯」。退職して収入が途切れると、実は多くの人がこの状態に近づきます。医療費の上限が下がり、国民健康保険料が軽くなり、国民年金の保険料も免除されやすくなる——退職後の家計にとっては、地味ですが効きの大きい仕組みです。一方で「前年の所得で判定する」という時間差があるため、退職した直後ではなく、その約2年後に該当するという誤解しやすい構造もあります。この記事では、令和8年度の正確な金額基準、世帯構成別の目安、退職者がいつ非課税になるかのモデルケース、そして受けられるメリットを公的資料に基づいて整理します。

この記事の要点
  • 令和8年度(令和7年中の所得で判定)の均等割・所得割とも非課税の基準は、扶養親族がいない場合合計所得金額45万円以下=給与収入110万円以下。扶養親族がいる場合は「35万円×(本人+同一生計配偶者+扶養親族の人数)+31万円」以下
  • 失業手当は雇用保険法第12条により非課税で所得に数えず、退職金も住民税では現年分離課税で合計所得金額に含まれない。そのため退職の翌年に無収入なら、その翌年度(退職の約2年後)から非課税になる
  • 非課税世帯になると、70歳未満の高額療養費の自己負担上限が月36,900円(令和8年8月〜、多数回該当24,600円・年間上限29万円)まで下がり、国保の均等割・平等割は最大7割軽減、国民年金保険料も全額免除の対象になりやすくなる
この記事でわかること
  1. 住民税非課税世帯とは——「均等割も所得割もゼロ」の世帯
  2. 令和8年度の非課税基準はいくらか
  3. 世帯構成別・非課税になる年収の目安
  4. 所得の金額に関係なく非課税になる人
  5. 退職者はいつ非課税世帯になるのか(モデルケース)
  6. 失業手当と退職金は判定に入るのか
  7. 非課税世帯になると受けられるメリット
  8. 誤解しやすい3つの落とし穴
  9. 自分が該当するかを確かめる方法

住民税非課税世帯とは——「均等割も所得割もゼロ」の世帯

結論から言うと、住民税非課税世帯とは世帯全員の個人住民税が、均等割・所得割ともにかかっていない世帯のことです。片方だけ非課税では該当しません。

個人住民税は、次の2つの部分でできています。

区分内容金額(東京23区の例)
均等割所得の大小にかかわらず定額でかかる部分都民税1,000円+区市町村民税3,000円=年4,000円
所得割前年の所得に応じてかかる部分都民税4%+区市町村民税6%=税率10%
(参考)森林環境税令和6年度から住民税と併せて徴収される国税年1,000円
押さえておきたいのは、「所得割だけが非課税」という中間の状態があることです。この状態は自治体の案内では「均等割のみ課税世帯」と呼ばれます。均等割の年4,000円だけ払っている状態で、住民税は課税されているため、住民税非課税世帯を対象とする給付金や減免では対象外になることがほとんどです。「住民税がほとんどかかっていない=非課税世帯」ではない点に注意してください。

令和8年度の非課税基準はいくらか

結論として、令和8年度(令和7年=2025年中の所得で判定)の基準は次のとおりです。均等割・所得割の両方が非課税になる条件を満たしたときに「非課税世帯」の判定になります。

区分扶養親族・同一生計配偶者がいない場合扶養親族・同一生計配偶者がいる場合
均等割も所得割も非課税前年の合計所得金額が45万円以下35万円×(本人+同一生計配偶者+扶養親族の合計人数)+31万円 以下
所得割のみ非課税前年の合計所得金額が45万円以下35万円×(同上の合計人数)+42万円 以下

この「35万円×人数+31万円」は、自治体によっては「35万円×人数+10万円+21万円」と分けて表記されていますが、金額は同じです。

均等割の非課税限度額は市町村の条例で定めるため、生活保護基準の級地区分によって「35万円」の部分が「31.5万円」「28万円」などに下がる自治体があります。上の表は東京23区など1級地の金額です。ご自身の市区町村のホームページで「住民税 非課税基準」を必ず確認してください。

世帯構成別・非課税になる年収の目安

合計所得金額はぴんと来にくいので、収入が給与だけの場合の年収に換算したものが下の表です。令和7年度税制改正で給与所得控除の最低保障額が55万円から65万円に引き上げられたため、単身者のラインは従来の年収100万円から110万円に上がりました(令和8年度=2025年中の所得で判定する分に適用)。

世帯構成非課税になる合計所得金額給与収入だけの場合の目安
単身(扶養親族なし)45万円以下110万円以下
夫婦2人(配偶者を扶養)35万円×2+31万円=101万円以下約166万円以下
夫婦+子1人(3人世帯)35万円×3+31万円=136万円以下約205万円以下
夫婦+子2人(4人世帯)35万円×4+31万円=171万円以下約255万円以下
ここでいう「人数」は本人を含めて数える点に注意してください。配偶者を扶養している共働きでない夫婦なら2人、そこに子どもが1人いれば3人です。なお、この判定に使うのは世帯の合計収入ではなく納税義務者ひとりひとりの合計所得金額です。夫婦がそれぞれ働いている場合は、夫も妻もそれぞれの基準を下回っている必要があります。
給与収入への換算は、給与所得控除(収入190万円以下は65万円、190万円超360万円以下は収入×30%+8万円)を用いた概算です。実際の給与所得は「給与所得控除後の給与等の金額の表」で収入を一定の幅ごとに区切って計算するため、境界付近では数千円単位でずれることがあります。年収がラインぎりぎりの方は市区町村の課税課にご確認ください。

令和9年度分(2026年中の所得で判定する分)からは換算額が変わります。令和8年度税制改正で給与所得控除の最低保障額が74万円に引き上げられたため(国税庁「令和8年4月 源泉所得税の改正のあらまし」)、単身者のラインは年収119万円相当に上がる見込みです。非課税限度額そのもの(合計所得45万円など)は据え置きで、変わるのは給与収入への換算だけです。

所得の金額に関係なく非課税になる人

結論として、次に当てはまる人は所得の金額とは別の基準で住民税が非課税になります。

退職を考えている人にとって現実的に関係してくるのは、ひとり親の区分です。合計所得金額135万円以下は、給与収入だけなら約200万円以下に相当します。所得45万円という一般の基準に比べてかなり広いので、シングルで子育てをしながら働いている方は、時短勤務や退職後のパート勤務で該当する可能性があります。

退職者はいつ非課税世帯になるのか(モデルケース)

結論から言うと、退職した年ではなく、退職の翌年を丸ごと低収入で過ごした結果、その翌年度(退職から約2年後)に非課税になるのが典型的なパターンです。住民税は「前年1月〜12月の所得」に対して「翌年6月〜翌々年5月」に課税されるという、1年遅れの仕組みだからです。

具体的に、次のケースで見てみます。

所得が発生した年その年の合計所得金額課税される住民税の年度判定
2026年(退職した年)給与収入400万円 → 給与所得276万円令和9年度(2027年6月〜2028年5月)課税
2027年(失業手当のみ)失業手当は非課税のため0円令和10年度(2028年6月〜2029年5月)非課税

この表が示すのは、退職直後がいちばん苦しいという現実です。2026年8月に会社を辞めた人は、収入がないまま2027年5月まで前年分の住民税を払い続け、さらに2027年6月からは退職年の所得に基づく住民税(この例では年およそ15万円前後)を自分で納めることになります。非課税になるのは2028年6月から——退職から1年10か月後です。

「退職したら住民税はすぐゼロになる」という思い込みは、退職後の家計計画でもっとも危険な誤解のひとつです。退職の翌年度こそ、収入がないのに住民税の負担がピークになります。給与天引き(特別徴収)から自分で納める普通徴収に切り替わるため、年4回まとめて請求が来る点も家計を圧迫します。
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失業手当と退職金は判定に入るのか

結論として、失業手当も退職金も、住民税非課税の判定に使う合計所得金額には含まれません。理由はそれぞれ異なります。

収入の種類非課税判定への影響根拠
失業手当(基本手当)含まれない雇用保険法第12条により、失業等給付を標準として租税その他の公課を課すことができない(=非課税所得)
再就職手当・教育訓練給付金など含まれない同上(雇用保険の失業等給付・教育訓練給付)
退職金(退職所得)含まれない個人住民税では退職所得は現年分離課税とされ、非課税限度額の判定に用いる合計所得金額に算入されない
失業中に得た副業・フリーランス収入含まれる事業所得・雑所得として合計所得金額に算入
株式の売却益・配当(申告した場合)含まれる申告分離課税を選択して申告すると合計所得金額に算入される
実務上いちばん大きいのは退職金の扱いです。勤続20年で1,000万円の退職金を受け取っても、それは非課税判定には影響しません。退職金には支払時に住民税が源泉徴収されているため「税金を払っていない」わけではありませんが、翌年度以降の住民税の判定においては、退職金の有無で結論が変わらない、という理解で正しいです。
注意したいのは、失業中に確定申告で株式の譲渡益や配当を申告すると、合計所得金額が増えて非課税から外れるケースです。源泉徴収ありの特定口座であれば申告しないという選択もでき、申告不要を選べば住民税の合計所得金額には算入されません。医療費控除などのために申告する場合は、株式の所得を含めるかどうかで非課税判定が変わることがあるので、事前に試算してください。

非課税世帯になると受けられるメリット

結論から言うと、住民税そのものが浮く金額(年数万円〜)よりも、それに連動して下がる医療・保険の負担のほうが大きいのが実際です。主なものを整理します。

制度住民税非課税世帯だとどうなるか
高額療養費(70歳未満)1か月の自己負担上限が最も低い区分になり、36,900円(令和8年8月診療分から。それ以前は35,400円)。多数回該当は24,600円、令和8年8月からは年間上限29万円も導入
国民健康保険料世帯の所得が基準以下なら均等割・平等割が7割・5割・2割軽減される。7割軽減の基準は「43万円+(給与所得者等の数-1)×10万円」以下
国民年金保険料全額免除の所得基準は「(扶養親族等の数+1)×35万円+32万円」。単身なら前年所得67万円以下で全額免除の対象
介護保険料(65歳以上)保険料段階が第1〜第3段階となり、基準額より低い保険料率が適用される
高等教育の修学支援新制度大学・専門学校等の授業料等減免と給付型奨学金で、支援額が最も大きい第Ⅰ区分に該当
国・自治体の給付金物価高対策の給付金など、住民税非課税世帯を対象とする支援の対象になる
退職者が特に恩恵を感じやすいのは高額療養費と国民年金の免除です。国民年金保険料は月17,000円台で、夫婦2人なら年間40万円を超えます。これが全額免除になれば、それだけで住民税非課税による節約額を大きく上回ります。しかも免除された期間も、老齢基礎年金の受給資格期間には算入され、年金額にも国庫負担分(2分の1)が反映されます。未納とは決定的に違うので、収入が途切れたら必ず申請してください。
注意点として、国保の軽減も年金の免除も「住民税非課税世帯かどうか」で判定しているわけではありません。それぞれ独自の所得基準(国保は43万円ベース、年金は67万円ベース)を持っています。住民税が非課税でも国保の7割軽減に当てはまらない、あるいは逆に住民税は課税でも年金の一部免除には当てはまる、といったズレが普通に起こります。制度ごとに市区町村・年金事務所へ確認してください。なお国民年金には失業を理由とする特例免除があり、離職票や雇用保険受給資格者証を添えれば、前年所得にかかわらず審査を受けられます。退職直後の人はまずこちらを使うのが早道です。

誤解しやすい3つの落とし穴

自分が該当するかを確かめる方法

もっとも確実なのは書類で確認する方法です。次の3つのいずれかで判断できます。

退職を予定している人は、「退職の翌年度と翌々年度で住民税がいくらになるか」を先に計算しておくことをおすすめします。非課税になるのは早くても退職の約2年後で、それまでは前年の給与に基づく住民税が容赦なくかかります。退職シミュレーターでは、失業手当の受給額と翌年度以降の住民税・国民健康保険料を差し引いた貯金の推移を試算できます。

まとめ

参考・出典

この記事は2026年8月時点の公表情報に基づく一般的な解説です。均等割の非課税限度額は市町村の条例で定められており、級地区分によって金額が異なります。給与収入への換算額は給与所得控除を用いた概算であり、実際の判定は「給与所得控除後の給与等の金額の表」によります。国民健康保険料の軽減割合・介護保険料の段階・給付金の支給要件は自治体によって異なります。ご自身が非課税に該当するかどうかの最終的な判断は、お住まいの市区町村の住民税担当課(課税課・市民税課)にご確認ください。年金保険料の免除は年金事務所または市区町村の国民年金担当窓口、税金の個別の取り扱いは税務署または税理士にご相談ください。