失業手当・住民税・国保・貯金の推移を1分で見える化

企業型DCは退職したらどうなる?移換の6か月ルール【2026年版】

公開日:2026年8月12日 | 最終更新:2026年10月10日

退職の手続きで見落とされやすいのが、企業型確定拠出年金(企業型DC)の資産です。健康保険や年金の切り替えには役所から通知が来ますが、企業型DCは「6か月以内に自分で移換手続きをしないと、資産が現金化されて国民年金基金連合会に自動移換される」という仕組みになっており、放置すると手数料が引かれ続けたうえに運用も止まります。しかもそのお金は原則60歳まで引き出せないので、退職直後の生活費には使えません。この記事では、退職後の選択肢4つ、放置したときのコストをモデルケースの数字で、そして退職後の立場ごとにiDeCoでいくらまで積み立てられるかを整理します。

この記事の要点
  • 企業型DCの加入者資格を喪失してから6か月以内に、iDeCoか転職先の企業型DCへ移換(または要件を満たす場合は脱退一時金を請求)しないと、資産は現金化されて国民年金基金連合会に自動移換される
  • 自動移換されると手数料4,348円(連合会1,048円+特定運営管理機関3,300円)がかかり、4か月後から月98円(連合会40円+特定運営管理機関58円)の管理手数料が引かれる。運用の指図はできず、通算加入者等期間にも算入されない
  • 資産は原則60歳まで引き出せない。脱退一時金は「通算拠出期間5年以下または資産25万円以下」「資格喪失から2年以内」など7要件すべてを満たす場合に限られる
この記事でわかること
  1. 辞めた瞬間から何が始まる?——6か月のカウントダウン
  2. 資産の行き先は4つ。どれを選べばいい?
  3. あなたはどれに当てはまる?状況別の早見表
  4. 放っておくと5年でいくら目減りする?
  5. 受給開始が60歳から遅れるのはなぜ?
  6. 退職後のiDeCoはいくらまで積み立てられる?
  7. 国民年金を免除してもらうとiDeCoはどうなる?
  8. 掛金を出すと貯金は何か月もつ?シミュレーターで試算
  9. 脱退一時金で引き出せるのはどんな人?
  10. 退職者が誤解しやすい5つのこと
  11. 【2026年1月から】受け取り方の「10年ルール」
  12. 【2026年12月から】拠出限度額と加入可能年齢が変わる
  13. 手続きの流れとチェックリスト

辞めた瞬間から何が始まる?——6か月のカウントダウン

退職した時点で企業型DCの加入者資格は失われ、そこから6か月以内に資産を移す手続きが必要になります。会社が自動でやってくれるわけではありません。iDeCo公式サイト(運営:国民年金基金連合会)は次のように説明しています——企業型確定拠出年金の加入者資格を喪失してから6か月以内に、個人別管理資産をiDeCoまたは他の企業型確定拠出年金等に移換するか、脱退一時金を請求する手続きを行わなかった場合、その資産は現金化され、国民年金基金連合会に自動的に移換されます。

ここでいう「個人別管理資産」とは、会社が拠出してきた掛金とその運用益を合わせた、あなた個人の持ち分です。原則として退職しても没収されることはありません(例外として、勤続3年未満で退職した場合に会社が出した掛金分の全部または一部を会社に返還させる定めを規約に置ける仕組みがあります。詳しくは後述の「誤解しやすい5つのこと」で)。企業型DCは会社ごとに信託銀行などの資産管理機関と契約しているため、退職すると持ち分はいったん現金化(売却)されて次の器へ運ばれます。移換のたびに保有していた投資信託が売られる点は、タイミングによっては損にも得にもなり得ます。
手続きには時間がかかります。iDeCo公式サイトは、運用商品の現金化など資産・記録の移換処理の完了までに書類提出後2〜3か月程度を要すると案内しています。「6か月あるから大丈夫」と構えていると、書類の不備や金融機関選びで迷っているうちに期限が来ます。退職が決まった段階で移換先の運営管理機関(銀行・証券会社)を決めておくのが確実です。

資産の行き先は4つ。どれを選べばいい?

退職後にとれる道は次の4つです。多くの人にとって現実的なのは①か②です(このほか、転職先の確定給付企業年金(DB)の規約が受け入れを認めていれば、DBへ移せる場合もあります)。

見落とされがちなのが②の運用指図者という選択肢です。「退職して収入がないから、毎月お金を出すiDeCoは無理」と考えて何もしない人が多いのですが、掛金を出さずに資産を移すだけなら収入は関係ありません。自動移換を避けるという一点だけでも、②を選ぶ価値があります。掛金の拠出は後から始められます。

あなたはどれに当てはまる?状況別の早見表

4つの道のどれを選ぶかは、退職後の働き方と国民年金の保険料をどうするかでほぼ決まります。上の行から順に見て、最初に当てはまった行があなたの答えです。

退職後のあなたの状況選ぶ道出すもの・出す先掛金を出す場合の上限(現行)
転職先に企業型DCがあり、そこに加入する③転職先の企業型DCへ移す転職先の人事・総務の担当部署に申し出る転職先の規約による
60歳未満で、資産が25万円以下(または通算拠出期間5年以下)、かつ国民年金の保険料免除を受けている④脱退一時金を検討できる(7要件すべてを満たす場合のみ)加入していた企業型DCの運営管理機関に確認—
求職中・フリーランスで、国民年金の保険料免除を受ける②iDeCoへ移して運用指図者になるiDeCoの運営管理機関に「個人別管理資産移換依頼書(K-003)」拠出できない
求職中・フリーランスで、国民年金の保険料を払う①加入者になる/②運用指図者のまま、のどちらでも①なら「個人型年金加入申出書(K-001)」+K-003、②ならK-003のみ月6.8万円
配偶者の扶養に入る(第3号被保険者)①か②同上月2.3万円
企業型DCのない会社に転職する①か②(転職先にDBがあり規約が受け入れを認めていればDBへ移す道も)同上企業年金なし:月2.3万円/DBあり:月2.0万円
何年も前に辞めていて、手続きをした覚えがないすでに自動移換されている可能性が高い。そこから①〜④を選び直す特定運営管理機関(後述)に照会上の各行と同じ

迷ったときの基本は、「とりあえず②で資産を移しておき、収入が戻ってから①に切り替える」です。②から①への切り替えはあとからでもできますが、自動移換の手数料は一度引かれると戻りません。なお、出す書類の名称と様式番号はiDeCo公式サイトの「転職・退職された方へ」に掲載されているものです。

放っておくと5年でいくら目減りする?

手続きをせずに放置すると、実際にどれくらいのコストになるのかを試算します。前提は次のとおりです。

項目金額内訳
新規自動移換手数料4,348円国民年金基金連合会1,048円+特定運営管理機関3,300円
管理手数料(5年分)約5,488円月98円(連合会40円+特定運営管理機関58円)×約56か月分
自動移換からiDeCoへの移換手数料550円特定運営管理機関
余分にかかった手数料の合計約10,386円すぐ移換していれば不要だった費用
運用できなかった機会損失約23.9万円150万円を年3%で5年運用した場合との差
実質的な目減りの合計約25万円—

※自動移換された資産をiDeCoへ移すときは、上の550円のほかに国民年金基金連合会の手数料2,829円もかかります。ただしこれは、退職後すぐに企業型DCからiDeCoへ移した場合でも同じ2,829円がかかるため、「放置したことで余分にかかった費用」には含めていません。

この表から読み取れることは2つあります。

この管理手数料は令和8年4月1日に改定されたばかりです。改定前は特定運営管理機関の52円のみ(月52円)でしたが、改定後は国民年金基金連合会の40円が新設され、特定運営管理機関分も58円に上がって合計月98円になりました。一方で移換手数料は1,100円から550円に下がっています。古い記事には「月52円」「移換1,100円」と書かれたものが残っているので注意してください。

受給開始が60歳から遅れるのはなぜ?

見落とされやすいもう一つの損は、自動移換されている期間が「通算加入者等期間」に算入されないことです。この期間は、確定拠出年金の老齢給付金を何歳から受け取れるかを決めるものです。iDeCo公式サイトが示す対応は次のとおりです。

通算加入者等期間受給を開始できる年齢
10年以上60歳
8年以上10年未満61歳
6年以上8年未満62歳
4年以上6年未満63歳
2年以上4年未満64歳
1か月以上2年未満65歳
たとえば企業型DCに8年入っていた人が退職後に5年間自動移換されたままだと、その5年は期間に数えられません。8年のままなので受給開始は61歳で、60歳から受け取るには追加で2年分の加入者等期間が必要になります。「60歳になったら受け取って住宅ローンを繰上返済しよう」といった計画を立てている人は、この点だけでも移換を急ぐ理由になります。なお、老齢給付金は75歳までに請求する必要があります。

退職後のiDeCoはいくらまで積み立てられる?

iDeCoに移して掛金も出す場合、いくらまで積み立てられるかは退職後にあなたが国民年金の何号被保険者になるかで決まります。現行(令和6年12月〜)の限度額は次のとおりです。

退職後の立場国民年金の種別iDeCoの掛金上限(月額)
自営業・フリーランスになる/求職中で就業していない第1号被保険者6.8万円(国民年金基金・付加保険料との合算枠)
配偶者の扶養に入る第3号被保険者2.3万円
企業年金のない会社に転職第2号被保険者2.3万円
企業型DCやDBのある会社に転職第2号被保険者2.0万円(事業主の拠出額との合計が月5.5万円の範囲内)
公務員になる第2号被保険者2.0万円(共済掛金相当額との合計が月5.5万円の範囲内)

掛金は月々5,000円から1,000円単位で設定でき、変更は年1回まで、拠出の停止はいつでもできます。つまり、退職直後は最低額の5,000円で始めておき、再就職して収入が安定してから増やす、という運び方も可能です。

iDeCoには手数料がかかります。国民年金基金連合会に対して、新規に加入者資格を取得または資産を移換した際に2,829円(初回のみ)、加入者として掛金を納付する都度105円がかかり、これとは別に運営管理機関や事務委託先金融機関(信託銀行)の手数料が毎月かかります。金融機関によって差があるのは運営管理機関の手数料の部分なので、口座を開くときは「運営管理機関手数料が無料か」を必ず確認してください。

国民年金を免除してもらうとiDeCoはどうなる?

答えは「掛金は出せないが、資産を移して運用することはできる」です。退職して国民年金保険料の免除を受けている間は、iDeCoの掛金を出せません。iDeCo公式サイトは、脱退一時金の要件の説明のなかで「iDeCoに加入できない者」の例として国民年金保険料免除者を挙げています。

ここが退職者にとっては悩ましいところです。会社を辞めて収入が途切れると、国民年金には失業を理由とする保険料の免除・納付猶予という制度があり、月1万7千円台の負担を軽くできます。しかし免除を受けると、その間はiDeCoに掛金を出せなくなります。

整理すると、退職後の身の振り方は次のようになります。①国民年金の免除を受ける場合——iDeCoへの資産移換だけを行い、運用指図者として運用を続ける(掛金は出さない)。②免除を受けずに保険料を払う場合——iDeCoの加入者になって掛金も出せる(第1号なら月6.8万円まで)。どちらにしても「資産をiDeCoへ移す」ことは共通です。免除を受けるかどうかで変わるのは掛金を出せるかどうかだけなので、移換の手続きを止める理由にはなりません。

失業を理由とする免除は、離職票や雇用保険受給資格者証のコピーを添えて申請すると、本人の前年所得にかかわらず審査を受けられる特例です。申請の窓口と書類は退職後の住民税・国保・年金の手続きガイドでまとめています。

掛金を出すと貯金は何か月もつ?シミュレーターで試算

「iDeCoを続けたいが、無収入の期間に掛金を出して大丈夫か」は、退職者がいちばん迷うところです。そこで、トップページの退職シミュレーターと同じ計算式を使い、3人のモデルについて①国民年金を払って運用指図者になる/②国民年金を払ってiDeCoに月5,000円を拠出/③月2.3万円を拠出/④国民年金の全額免除が承認されて運用指図者になるの4通りで、退職後の貯金の推移を比べました。

モデル失業手当毎月の税・保険料
(国民年金を払う場合)
Aさん:30歳・月収25万円・勤続5年・自己都合
前年年収350万円/貯金150万円/生活費月15万円
日額5,776円×90日
=約52万円
50,008円
(住民税12,146円+国保19,942円+国民年金17,920円)
Bさん:38歳・月収32万円・勤続10年・自己都合
前年年収450万円/貯金200万円+退職金50万円/生活費月18万円
日額6,461円×120日
=約78万円
61,637円
(住民税17,521円+国保26,196円+国民年金17,920円)
Cさん:47歳・月収40万円・勤続22年・会社都合
前年年収550万円/貯金300万円+退職金300万円/生活費月22万円
日額6,744円×330日
=約223万円
54,163円
(住民税22,979円+国保13,264円(非自発的失業の軽減後)+国民年金17,920円)

この前提で、4通りの選び方ごとに「貯金がマイナスになる月」と「退職から12か月後・24か月後の残高」を計算した結果が次の表です。

選び方AさんBさんCさん
①国民年金を払う・運用指図者11か月目にマイナス
(12か月後 −38万円)
14か月目にマイナス
(12か月後 38万円)
24か月後も 165万円
②国民年金を払う・iDeCo月5,000円10か月目にマイナス
(12か月後 −44万円)
14か月目にマイナス
(12か月後 31万円)
24か月後 152万円
③国民年金を払う・iDeCo月2.3万円10か月目にマイナス
(12か月後 −66万円)
13か月目にマイナス
(12か月後 10万円)
24か月後 109万円
④国民年金を全額免除・運用指図者12か月目にマイナス
(12か月後 −17万円)
15か月目にマイナス
(12か月後 59万円)
24か月後 208万円

計算の前提:失業手当は令和8年8月1日改定の基本手当日額の計算式、給付制限は自己都合で1か月、振込は認定の約1か月後。国民年金保険料は令和8年度の月17,920円。住民税・国民健康保険は前年年収から単身・全国平均的な料率で概算した値で、実際の金額はお住まいの市区町村によって異なります。iDeCoの掛金には国民年金基金連合会の手数料105円を上乗せし、運営管理機関・信託銀行の手数料(金融機関によって異なる)は含めていません。④は全額免除が承認された場合として、国民年金の欄を0円に置き換えています。

この試算から言えることは3つです。

④の免除には代償があります。日本年金機構によると、全額免除の期間は将来の老齢基礎年金に保険料を全額納めた場合の2分の1しか反映されません。免除を受けた期間の保険料は10年以内なら後から納める(追納する)ことができるので、「失業中は免除で手元資金を守り、再就職して落ち着いてから追納する」という順番で考えるのが現実的です。また、退職した年の1月から退職日までに給与収入がある人は、退職後に拠出したiDeCoの掛金もその年の所得控除(確定申告で申告)に使えますが、翌年に収入がなければ掛金の節税効果はほとんどありません。

失業手当の日額と日数が上の3人と違う人は、失業手当のもらい方で自分の条件を確認できます。国保の金額が想定より高い人は、任意継続と国保の比較で月々の固定費を下げられないかを先に検討すると、iDeCoに回せる余地が変わります。

iDeCoは60歳まで引き出せません。では、手元の貯金だけで退職後は何か月もつでしょうか?
退職シミュレーターで無料計算する
失業手当・住民税・国保の負担を差し引いた、退職後の貯金の推移が1分でわかります。

脱退一時金で引き出せるのはどんな人?

脱退一時金は「ほとんどの人が該当しない」制度だと考えてください。iDeCo公式サイトは、次の要件にすべて該当する場合に受給できるとしています。

実務上のハードルは③と⑤です。③は「iDeCoに加入できない」ことが条件なので、iDeCoに入れる人——つまり普通に国民年金の保険料を納めている人は、この時点で対象外になります。⑤も、企業型DCに10年入っていて資産が数百万円ある人はまず該当しません。「勤続年数が短く、資産も25万円以下で、失業して国民年金の保険料免除を受けている人」のような限られたケースの救済措置だと理解してください。手続きは、加入中の運営管理機関を通じて加入者資格喪失届を提出し、運用指図者へ切り替えたうえで脱退一時金を請求する、という2段階になります。

退職者が誤解しやすい5つのこと

思われがちなこと実際は
会社が退職手続きのついでに移換までやってくれる会社がするのは加入者資格の喪失手続きまでです。移換先の運営管理機関を選んで書類を出すのは本人です。6か月以内に本人が動かなければ自動移換になります
企業型DCの資産は、いつ辞めても全額自分のもの確定拠出年金法は、勤続(会社に使用された期間)が3年未満で資格を喪失した人について、会社が出した掛金相当分の全部または一部を会社に返還させる定めを規約に置けるとしています。勤続3年未満で辞める人は、自分の会社の規約にこの定めがあるかを確認してください。返還の対象は会社が出した掛金に相当する部分に限られ、資産のすべてが没収されるわけではありません
収入がないとiDeCoには移せない収入が関係するのは掛金を出すかどうかだけです。運用指図者として資産を移すだけなら、無収入でも国民年金の免除中でも手続きできます
自動移換されても、お金がなくなるわけではないから放っておいていい資産は無利息の現金で預けられ、手数料が毎年引かれ続けます。さらに自動移換中の期間は通算加入者等期間に数えられないため、受給開始が60歳より遅れることがあります。気づいた時点で移換するのが得策です
資産が少なければ、退職を機に引き出せる脱退一時金は「資産25万円以下(または通算拠出期間5年以下)」だけでは受け取れません。iDeCoに加入できない人であることなど7要件すべてが必要で、国民年金の保険料を払っている人はこの時点で対象外です

【2026年1月から】受け取り方の「10年ルール」

2026年(令和8年)1月1日以降にiDeCo・企業型DCの一時金を受け取る人は、退職金との受取間隔に注意が必要になりました。国税庁の解説によると、確定拠出年金の老齢給付金として支給される一時金を受け取る年の前年以前9年内に退職手当等を受け取っている場合、勤続期間の重複部分を退職所得控除から差し引く調整が行われます(令和8年1月1日前に受け取った退職手当等については、従来どおり前年以前4年内が対象)。

従来は「DCの一時金を先に受け取り、5年空けてから退職金を受け取れば、それぞれに退職所得控除を満額使える」といういわゆる5年ルールが知られていました。これが実質的に10年に延びた形になります。逆の順序、つまり退職金を先に受け取ってからDCの一時金を受け取るケースでは、以前から前年以前19年内が調整の対象とされている点も変わりません。

退職の前後で意識しておきたいのは、会社の退職金を受け取った年と、将来DCの一時金を受け取る年の間隔です。たとえば55歳で早期退職して退職金を受け取り、60歳でiDeCoの一時金を受け取る場合、間隔は5年しかないため重複期間の調整を受けます。一時金ではなく年金形式(分割)で受け取ると退職所得ではなく雑所得となり、公的年金等控除の対象になるため、どちらが有利かは金額次第です。退職所得控除そのものの計算方法は退職金にかかる税金で解説しています。まとまった額になる人は、受け取りの1〜2年前に税理士やファイナンシャルプランナーに個別に相談する価値があります。

【2026年12月から】拠出限度額と加入可能年齢が変わる

厚生労働省の資料によると、令和8年(2026年)12月から確定拠出年金の拠出限度額が引き上げられます。退職後にiDeCoで積み立てを続ける人には追い風になる改正です。

区分現行(令和6年12月〜)令和8年12月〜
第1号加入者(自営業・フリーランス等)
第4号加入者(任意加入被保険者)
iDeCo・国民年金基金等の合計で月6.8万円合計で月7.5万円(0.7万円増)
第2号加入者(企業年金あり)iDeCoは月2.0万円、かつ事業主の拠出額との合計が月5.5万円iDeCo・企業年金等の合計で月6.2万円
第2号加入者(企業年金なし)iDeCoは月2.3万円月6.2万円(3.9万円増)
第3号加入者(扶養されている配偶者)月2.3万円月2.3万円(変更なし)
第5号加入者(60歳以上70歳未満で国民年金被保険者以外の人)—月6.2万円(新設)
注目したいのは第5号加入者の新設です。これまでiDeCoの掛金拠出は原則65歳になるまででしたが、60歳以上70歳未満で国民年金の被保険者ではない人も、老齢基礎年金やiDeCoの老齢給付金をまだ受給していないなどの条件を満たせば拠出を続けられるようになります。50代で退職して再就職する人にとっては、積み立て期間を延ばせる余地が広がる改正です。

手続きの流れとチェックリスト

企業型DCからiDeCoへ移す場合の流れは次のとおりです。

すでに何年も前に退職していて「手続きした覚えがない」という人は、すでに自動移換されている可能性があります。その場合の窓口は、自動移換の記録を管理している特定運営管理機関(日本インベスター・ソリューション・アンド・テクノロジー株式会社)です。自動移換の状態からでも、iDeCoの加入者になる・iDeCoの運用指図者になる・要件を満たせば脱退一時金を受け取る・転職先の企業型DCへ移す、という4つの選択肢が残っています。気づいた時点がいちばん早いタイミングです。

まとめ

参考・出典

この記事は2026年10月時点の公表情報に基づく一般的な解説です。モデルケースとシミュレーターによる試算の金額は記載した前提条件のもとでの概算であり、実際の手数料は運営管理機関によって異なります。運用利回りは将来の成果を保証するものではありません。移換の可否・必要書類・脱退一時金の該当性は個別の事情によって判断が分かれるため、加入していた企業型確定拠出年金の記録関連運営管理機関、移換先の運営管理機関、または特定運営管理機関にご確認ください。税金の取り扱いについては税務署または税理士にご相談ください。