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教育訓練給付金の使い方|給付制限の解除と受講費補助【2026年版】

公開日:2026年8月6日 | この記事は2026年8月時点の制度に基づいています

退職して次の仕事を探すとき、「資格を取ってから転職したいけれど、スクール代が高くて手が出ない」と感じる人は多いはずです。教育訓練給付金は、そのスクール代の20〜80%を雇用保険から補助してくれる制度です。そして2025年4月からは、もうひとつ大きな意味が加わりました。対象の教育訓練を受けると、自己都合退職の給付制限(原則1か月)が解除される——つまり、失業手当を受け取り始めるタイミングが早くなります。この記事では、3種類ある給付の違いと自分が対象かの確認方法、そして給付制限の解除でお金の流れがどう変わるかを、モデルケースの数字で整理します。

この記事の要点
  • 給付率は3種類。一般教育訓練は受講費用の20%(上限10万円)、特定一般は40%(資格取得・就職で50%、上限25万円)、専門実践は受講中50%+資格取得・就職で70%+賃金上昇で80%(年間上限64万円・最大3年192万円)
  • 対象になるのは雇用保険の加入期間(支給要件期間)が原則3年以上の人。初めて利用するなら一般・特定一般は1年以上、専門実践は2年以上でよい。離職者は離職日の翌日から受講開始まで原則1年以内
  • 2025年4月1日以降に離職し、同日以降に対象の教育訓練の受講を開始すると、自己都合退職の給付制限(原則1か月)が解除され、待期7日の後から基本手当を受給できる。申し出は受給資格決定日か初回認定日まで
この記事でわかること
  1. 教育訓練給付金とは——3種類と給付率の違い
  2. 自分は対象か?支給要件期間の数え方
  3. 【2025年4月から】教育訓練で給付制限が解除される
  4. モデルケース①:受講費用30万円の講座でいくら戻るか
  5. モデルケース②:給付制限の解除で受給スケジュールはどう変わるか
  6. 専門実践なら生活費の支援もある(教育訓練支援給付金)
  7. 申請の流れと期限
  8. やりがちな失敗と注意点

教育訓練給付金とは——3種類と給付率の違い

結論から言うと、教育訓練給付金は厚生労働大臣が指定した講座を修了したときに、支払った受講費用の一部がハローワークから戻ってくる制度です。指定講座は「一般教育訓練」「特定一般教育訓練」「専門実践教育訓練」の3つに分かれていて、社会的なニーズが高い訓練ほど給付率が高くなります。

種類給付率上限額支給要件期間主な対象講座のイメージ
一般教育訓練20%10万円3年以上
(初回は1年以上)
簿記、TOEIC・英会話、社会保険労務士、宅建、ITパスポート など
特定一般教育訓練40%
資格取得・就職で50%
20万円
(50%なら25万円)
3年以上
(初回は1年以上)
大型自動車第一種・第二種免許、介護職員初任者研修、税理士、一部のIT関係資格 など
専門実践教育訓練受講中50%
資格取得・就職で70%
賃金が上がれば80%
年40万円
(70%なら年56万円、
80%なら年64万円)
最大3年192万円
3年以上
(初回は2年以上)
看護師・介護福祉士・保育士などの養成課程、専門職大学院、第四次産業革命スキル習得講座 など
給付率の上乗せ部分(特定一般の50%、専門実践の70%・80%)は、令和6年10月1日以降に受講を開始した場合に適用される比較的新しい仕組みです。「資格取得・就職」は受講修了後に資格を取り、かつ被保険者として雇用された(または雇用されている)場合、「賃金上昇」は受講前と比べて賃金が5%以上上がった場合が対象になります。それぞれ追加の申請が必要なので、修了して終わりにせず、就職・昇給が決まった時点でハローワークに再度届け出てください。

自分が受けたい講座がどれに当たるかは、厚生労働省の「教育訓練給付制度検索システム」で講座名や資格名から検索できます。同じ資格でも、スクールによって指定講座かどうか・種類が違うことがあるため、申し込む前に必ず講座単位で確認してください。指定されていない講座を受けても、あとから給付を受けることはできません。

自分は対象か?支給要件期間の数え方

結論として、判定のポイントは「雇用保険にどれだけ入っていたか」と「離職からどれだけ経っているか」の2つです。

支給要件期間は会社をまたいで通算できます。前の会社を辞めてから次の会社に入るまでの空白が1年以内であれば、前後の期間を合算して数えられます(その間に基本手当の受給資格が発生した場合などを除く)。転職を重ねてきた人ほど「自分は短いから無理」と思いがちですが、通算すると3年を超えていることが少なくありません。
見落としやすいのが②の1年ルールです。退職して落ち着いてから考えよう、と先延ばしにしているうちに離職から1年が過ぎると、教育訓練給付金は使えなくなります。受講を検討しているなら、退職後の早い段階でハローワークに「教育訓練給付金支給要件回照会票」を出し、自分の支給要件期間と対象かどうかを確認しておくのが確実です。照会は在職中でもできます。

【2025年4月から】教育訓練で給付制限が解除される

結論から言うと、自己都合で退職した人が対象の教育訓練を受けると、給付制限が丸ごとなくなります。2025年(令和7年)4月1日に施行された雇用保険法改正によるもので、受講費用の補助とは別に、失業手当のスケジュールを前倒しできるという効果があります。

もともと自己都合退職には給付制限があり、2025年3月31日以前の離職では原則2か月、2025年4月1日以降の離職では原則1か月に短縮されました。さらにその1か月も、教育訓練を受けることで解除できるようになったという流れです。

離職の時期・状況給付制限の期間
会社都合退職・特定理由離職者なし(待期7日の後から支給対象)
自己都合退職(2025年4月1日以降の離職)原則1か月
自己都合退職+対象の教育訓練を受講解除(なし)
5年以内に3回以上の自己都合離職3か月

対象になる教育訓練の範囲

解除の対象になるのは、令和7年4月1日以降に受講を開始した次のいずれかの訓練です。

重要なのは、離職後に受講を始めた場合だけでなく、離職日前1年以内に受けていた訓練も対象になる点です。受講開始が離職の1年以上前であっても、離職日前1年以内に修了していれば対象になります。在職中に資格スクールに通っていて、その後に自己都合で退職した——という人は、給付制限が解除される可能性があります。ただし途中で退校した場合は対象外です。
申し出には期限があります。受講開始以降、受給資格決定日、または受給資格決定後の初回認定日(初回認定日より後に受講を開始した場合はその受講開始日の直後の認定日)までに申し出る必要があります。ハローワークで離職票を出して求職申込みをする最初のタイミングで、「教育訓練を受けている(受ける予定)」と必ず伝えてください。あとから気づいて申し出ても、さかのぼって解除されるとは限りません。

モデルケース①:受講費用30万円の講座でいくら戻るか

受講費用が30万円(税込・入学料と受講料の合計)の講座を修了した場合、種類によって戻る金額は次のように変わります。

種類修了時点の給付資格取得+就職で追加賃金5%上昇で追加最終的な合計
一般教育訓練6万円(20%)6万円
特定一般教育訓練12万円(40%)+3万円(10%)15万円
専門実践教育訓練15万円(50%)+6万円(20%)+3万円(10%)24万円

同じ30万円の出費でも、専門実践であれば実質の自己負担は6万円まで下がります。一方、一般教育訓練では24万円が自己負担として残ります。受けたい資格が特定一般や専門実践の指定を受けていないか、申し込む前に確認する価値があるのはこのためです。

給付の対象になるのは、教育訓練施設に支払った入学料と受講料です。受験料、交通費、教材のうち任意で購入したもの、パソコンなどの機器代は含まれません。また、一般教育訓練では計算した支給額が4,000円を超えない場合は支給されません(受講費用が2万円以下だと対象外になります)。専門実践教育訓練の上限額は「年間」の額で、受講期間が2年・3年にわたる場合はそれぞれの年について上限が適用され、最大3年で192万円が上限です。

モデルケース②:給付制限の解除で受給スケジュールはどう変わるか

次に、給付制限の解除でお金の流れがどう変わるかを見ます。前提は次のとおりです。

項目教育訓練を受けない場合対象の教育訓練を受けた場合
待期期間7日間7日間
給付制限原則1か月なし(解除)
支給対象になり始める日待期満了の約1か月後待期満了の翌日
初回振込の目安退職から約2か月半後退職から約1か月半後
支給総額(90日分)45万円45万円

この表から読み取れるのは次の2点です。

教育訓練給付金と基本手当は同時に受け取れます。受講費用の補助(教育訓練給付金)を受けながら、生活費(基本手当)も受け取り、しかも支給開始が1か月早まる——退職後に学び直しを考えている人にとって、この3つが重なる効果は小さくありません。ただし、ハローワークの指示で受ける公共職業訓練は受講料が原則無料のため、教育訓練給付金の対象にはなりません(代わりに受講手当・通所手当などの職業訓練受講中の給付があります)。
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専門実践なら生活費の支援もある(教育訓練支援給付金)

専門実践教育訓練を受ける離職者には、受講費用の補助とは別に教育訓練支援給付金という生活費の支援があります。看護師・介護福祉士の養成課程など、1〜3年かけて昼間に通う訓練を想定した制度です。

項目内容
支給額基本手当日額の60%×失業の認定を受けた日数
年齢要件受講開始時に45歳未満
受講開始日の期限令和9年(2027年)3月31日以前(暫定措置)
対象外になる訓練通信制・夜間制の課程
そのほかの要件受給資格確認時に一般被保険者でないこと(離職中であること)、失業の状態にあること など
基本手当日額5,000円の人なら、教育訓練支援給付金は日額3,000円=30日分で9万円です。基本手当の所定給付日数を使い切ったあとも、専門実践教育訓練を受けている間はこの給付を受け続けられるため、長期の学び直しでも生活を組み立てやすくなります。支給は基本手当と同じく2か月に一度の認定を受けて行われるので、認定日にはハローワークへ行く必要があります。
支給額は令和7年3月末までは基本手当日額の80%でしたが、現在は60%です。古い記事やスクールのパンフレットには80%と書かれたものが残っているので、金額を試算するときは注意してください。また受講開始日の期限(令和9年3月31日)は暫定措置として延長されてきた経緯があり、今後さらに変わる可能性があります。

申請の流れと期限

手続きは講座の種類によって少し違いますが、共通する流れは次のとおりです。

最大の落とし穴は②の事前手続きです。一般教育訓練には受講前の手続きが不要なのに対し、特定一般・専門実践は受講開始の14日前までに手続きをしないと、講座を修了しても1円も給付されません。給付率が高い種類ほど手続きが厳格だと覚えておいてください。キャリアコンサルティングの予約が取りにくいこともあるため、講座の申し込みと並行して早めに動くことをおすすめします。

やりがちな失敗と注意点

まとめ

参考・出典

この記事は2026年8月時点の公表情報に基づく一般的な解説です。指定講座の種類・給付率は講座ごとに定められており、同じ資格でもスクールやコースによって異なります。給付制限の解除の可否、支給要件期間の通算、必要書類は個別の事情によって判断が分かれるため、実際の手続きは住所を管轄するハローワークに必ずご確認ください。教育訓練支援給付金の暫定措置の期限は今後変更される可能性があります。