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再就職手当とは|早く再就職が決まったらもらえるお金の仕組み【2026年版】

公開日:2026年7月21日 | 最終更新:2026年8月25日

失業手当(基本手当)を受給している途中で再就職が決まると、「もらい損になるのでは」と不安になる人は少なくありません。しかし雇用保険には、早期に再就職した人にお金を支給する「再就職手当」という制度があります。条件を満たせば、まとまった一時金として受け取れます。この記事では、給付率が70%と60%のどちらになるかの境目、実際にいくらになるのか(当サイトのシミュレーターで計算した8パターンの実額)、そして窓口でつまずきやすい点までを、ハローワークが配布しているリーフレットの記載にもとづいて整理します。

この記事の要点
  • 再就職手当は「基本手当日額×支給残日数×60%または70%」(1円未満切り捨て)。所定給付日数を3分の2以上残して再就職すれば給付率70%になる
  • 計算に使う基本手当日額には上限がある。令和8年8月1日〜令和9年7月31日は60歳未満6,745円・60歳以上65歳未満5,454円。月収40万5,000円あたりを超えると、この上限で頭打ちになる
  • 自己都合退職で給付制限1か月がある人は、その期間中に就職が決まれば支給残日数が満額のまま残るため必ず70%になる。ただしその時期は「ハローワークまたは職業紹介事業者の紹介による就職」でなければ対象にならない
この記事でわかること
  1. 「早く決めると損」は本当か——制度が用意されている理由
  2. もらえる人・もらえない人はどこで分かれるのか(8つの要件)
  3. 70%か60%か——所定給付日数ごとの「残り何日」ライン表
  4. 当サイトのシミュレーターで8パターン計算した受給額
  5. 「これ、実は違います」——よくある6つの誤解
  6. 申請でつまずきやすいところ
  7. 再就職後に給与が下がったら——就業促進定着手当の実額

「早く決めると損」は本当か

再就職手当とは、雇用保険の失業手当(基本手当)を受給できる資格を持つ人が、基本手当をすべて受け取り切る前に安定した職業に就いた場合に支給される一時金です。失業手当は受け取っていない残日数が消えていく仕組みなので、放っておくと「就職を先延ばししたほうが得」に見えてしまいます。再就職手当は、残っている基本手当の一部を再就職のタイミングに応じてまとめて支給することで、その逆転を打ち消すための制度です。

逆に言えば、「もらい切ってから就職する」と再就職手当はゼロになります。あとで見るとおり、給付率が70%になるうちに決めた場合と、残日数が3分の1を切ってから決めた場合では、受け取れる額が3〜7倍変わることもあります。

もらえる人・もらえない人はどこで分かれるのか

再就職手当の支給を受けるには、次の8つの要件をすべて満たす必要があります。1つでも欠けると支給されません。

「1年を超えて勤務することが確実」が外れるケース

5つ目の要件は雇用形態によって判断が分かれます。ハローワークのリーフレットは、1年以下の雇用期間を定めて契約更新に一定の目標達成が条件付けられている場合(生命保険会社の外務員や損害保険会社の代理店研修生が例示されています)、および派遣就業で雇用期間が定められ、契約更新が見込まれない場合は、この要件に該当しないと明記しています。契約社員や派遣で決まった場合は、雇用契約書を持って窓口で確認するのが確実です。

最も見落とされやすいのが2つ目の要件です。所定給付日数の3分の1未満まで基本手当を使い切ってから再就職すると、再就職手当は1円も出ません。しかも「就職日の前日までの失業の認定を受けたうえで」という条件が付いているため、認定を受けないまま就職日を迎えると支給残日数が確定しません。内定が出た段階で、次の認定日と就職日の順序をハローワークに確認してください。
教育訓練を受けたことなどで自己都合退職の給付制限が解除された場合も、待期期間満了後1か月の期間内はハローワークまたは職業紹介事業者の紹介による就職であることという要件は残ります。給付制限が消えたので就職経路も自由になった、と考えると要件を外すおそれがあります。給付制限の解除そのものについては教育訓練給付金の使い方と給付制限の解除で扱っています。

70%か60%か——「残り何日」で決まるライン

再就職手当の額は次の式で決まります。

再就職手当の額 = 基本手当日額 × 支給残日数 × 60%(または70%)

給付率がどちらになるかは、就職日の前日までに残っている支給残日数が、所定給付日数の何割にあたるかで決まります。割合で言われるとわかりにくいので、ハローワークのリーフレットが示している「実日数」に直したのが次の表です。

所定給付日数給付率70%になる残日数
(3分の2以上)
給付率60%になる残日数
(3分の1以上)
自己都合(給付制限1か月)の人が
70%を確保できる目安
90日60日以上30日以上受給資格決定から約67日目まで
120日80日以上40日以上約77日目まで
150日100日以上50日以上約87日目まで
180日120日以上60日以上約97日目まで
210日140日以上70日以上約107日目まで
240日160日以上80日以上約117日目まで
270日180日以上90日以上約127日目まで
300日200日以上100日以上約137日目まで
330日220日以上110日以上約147日目まで
360日240日以上120日以上約157日目まで

左3列はハローワーク「再就職手当のご案内」に掲載されている数値です。右端の列は、待期7日+給付制限1か月(約30日)=約37日間は基本手当が1日も発生しないという仕組みから、当サイトで逆算した目安です。「約37日+所定給付日数の3分の1の日数」という単純な足し算になります。会社都合など給付制限がない人は給付制限の30日ぶんが無くなるので、それぞれ約30日早いタイミングが期限になります。実際の残日数は失業の認定を受けた日数で決まるため、認定日の並びによって数日前後します。

自己都合退職で給付制限が1か月ある人は、給付制限が明ける前に就職が決まれば支給残日数が所定給付日数のまま残るため、給付率は自動的に70%になります。ただしこの時期はちょうど「待期満了後1か月以内」に重なるので、要件4によりハローワークまたは職業紹介事業者(転職エージェントなど許可・届出のある事業者)の紹介による就職でなければ対象になりません。求人サイトからの直接応募でこの時期に決めた場合は、給付制限が明けるのを待ってから入社日を設定するほうが要件を満たせることがあります。入社日の相談ができる段階なら、窓口で確認する価値があります。

過去5年間に自己都合退職が3回以上ある人は給付制限が3か月のままなので、70%を確保できる期間はさらに長くなります。所定給付日数そのものの決まり方は失業手当の給付日数早見表で確認できます。

当サイトのシミュレーターで8パターン計算してみた

「基本手当日額×残日数×70%」と言われても、自分の場合いくらになるのかは見えません。そこでトップページのシミュレーターと同じ計算式(令和8年8月1日改定の公式計算式)で基本手当日額と所定給付日数を求め、そこから再就職手当を計算した結果を並べました。賃金日額は「月収÷30」、金額は1円未満切り捨てです。

条件賃金日額基本手当日額所定給付日数満額を残して70%3分の2ちょうどで70%3分の1ちょうどで60%
25歳・月収20万円・勤続3年・自己都合6,667円5,037円90日317,331円211,554円90,666円
30歳・月収25万円・勤続5年・自己都合8,333円5,776円90日363,888円242,592円103,968円
35歳・月収30万円・勤続8年・自己都合10,000円6,307円90日397,341円264,894円113,526円
40歳・月収35万円・勤続12年・自己都合11,667円6,630円120日556,920円371,280円159,120円
48歳・月収40万円・勤続22年・自己都合13,333円6,744円150日708,120円472,080円202,320円
35歳・月収30万円・勤続8年・会社都合10,000円6,307円180日794,682円529,788円227,052円
50歳・月収45万円・勤続22年・会社都合15,000円7,500円
→上限6,745円
330日1,558,095円1,038,730円445,170円
62歳・月収30万円・勤続25年・会社都合10,000円5,348円240日898,464円598,976円256,704円

同じ条件でも、右の3列で3倍から7倍の差が出ています。たとえば35歳・月収30万円・勤続8年で自己都合退職した人は、給付制限中に決まれば39万7,341円ですが、残り30日まで受け取ってから決めると11万3,526円です。差額は28万円を超えます。

「満額を残して70%」は会社都合の人には難しい

表のいちばん左の金額列は、支給残日数が所定給付日数のまま残っているケースです。自己都合で給付制限1か月がある人にとってはこれは十分あり得る話ですが、会社都合の人は待期7日が明けた翌日から基本手当が発生し始めるため、この列に届くには待期期間中に就職が決まる必要があります。しかも要件8で「受給資格決定(求職申込み)の前から内定していた事業主」は対象外なので、求職申込みのあと待期の7日以内に決まる、という非常に狭いケースに限られます。会社都合の人は、真ん中の「3分の2ちょうど」の列を現実的な上限として見てください。

月収40万5,000円を超えると上限で頭打ちになる

50歳・月収45万円の行だけ、基本手当日額(7,500円)と再就職手当の計算に使う日額(6,745円)が食い違っています。再就職手当には計算用の基本手当日額の上限が別に設けられていて、令和8年8月1日から令和9年7月31日までは60歳未満6,745円、60歳以上65歳未満5,454円です。60歳未満の場合、賃金日額13,490円(月収に直すと約40万5,000円)を超えると基本手当日額がこの上限を上回るため、それ以上収入が高くても再就職手当は増えません。60歳以上65歳未満は賃金日額12,120円(月収約36万4,000円)が同じ意味の分岐点です。この上限額も基本手当日額と同じく毎年8月1日に改定されます。

上の例では、上限がなければ7,500円×330日×70%=173万2,500円でしたが、上限が効いて155万8,095円になりました。差は約17万円です。高収入だった人ほど、再就職手当の「増え方」は早く止まると考えてください。

なお、この試算は基本手当日額と所定給付日数だけを使った単純計算です。退職後は住民税・国民健康保険・国民年金の支払いが同時に来るので、手元にいくら残るかは別の話になります。そちらは退職後の住民税・国保・年金の手続きガイドで扱っています。

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「これ、実は違います」——よくある6つの誤解

よくある思い込み実際の扱い
再就職手当をもらったら、失業手当の残りは完全に消える再就職手当の支給後に離職して失業状態になった場合、再就職手当分を除く残日数分の基本手当を受給できる場合があるとハローワークのリーフレットに明記されています。まず窓口に相談してください。
待期の7日間は、カレンダーで7日たてば終わる待期期間中に仕事などをして失業の状態でなかった日、および失業の認定を受けていない日は、待期期間に含まれません。実際の待期満了日がカレンダーどおりにならないことがあります。
知人の紹介や求人広告で決めた仕事は再就職手当の対象外給付制限がない人は、待期期間経過後であれば就職の経路は問われません。知人の紹介や新聞広告での応募でも対象です。給付制限がある人も、待期満了後1か月を過ぎれば経路は問われなくなります。
教育訓練で給付制限が解除されたので、就職経路も自由になった給付制限が解除された場合も、待期期間満了後1か月の期間内はハローワークまたは職業紹介事業者の紹介による就職であることが必要です。
個別延長給付などで日数が延びたぶんも残日数に数えられる延長給付の支給残日数は、再就職手当に係る支給残日数としてはみなされません。給付率の判定に使えるのは所定給付日数の分だけです。
起業して再就職手当をもらった人も、就業促進定着手当をもらえる起業により再就職手当を受給した場合、就業促進定着手当は受けられません。同手当は「同じ事業主に6か月以上、雇用保険の被保険者として雇用されていること」が条件です。

申請でつまずきやすいところ

再就職手当を受け取るには、就職した日(または事業を開始した日)の翌日から1か月以内に「再就職手当支給申請書」を、雇用保険受給資格者証を添えてハローワークに提出します。提出は本人、代理人、郵送のいずれでも認められています。実務で引っかかりやすいのは、この期限そのものよりも次の3点です。

受給手続きそのものの流れが不安な場合は、失業手当のもらい方を5ステップで解説で全体像を確認してから読むとつながりやすくなります。

再就職後に給与が下がったら——就業促進定着手当の実額

再就職手当を受け取った人が、再就職先に6か月以上雇用され続け、かつ再就職後6か月間の賃金が離職前の賃金より低い場合は、その差額分を補う「就業促進定着手当」を追加で受け取れます。計算式は次のとおりです。

(離職前の賃金日額 - 再就職後6か月間の賃金の1日分の額)× 再就職後6か月間の賃金の支払基礎となった日数

月給制の場合、「再就職後6か月間の賃金の1日分の額」は6か月間の賃金合計額÷180で計算します。賞与など3か月を超える期間ごとに支払われる賃金は含みませんが、通勤手当や皆勤手当は含みます。支払基礎となった日数は、月給制なら暦日数(6か月で181〜184日程度)です。

上限額が先に効くことが多い

この手当には別の上限があります。

上限額 = 基本手当日額(60歳未満6,745円/60歳以上65歳未満5,454円)× 支給残日数 × 20%

上の試算表の「35歳・月収30万円・勤続8年・会社都合」(基本手当日額6,307円、所定給付日数180日)の人が、残120日で再就職手当を受け取り、その後の月収が27万円になったケースを計算してみます。

この上限は2025年(令和7年)4月1日以降に再就職した人に適用されるもので、それ以前は支給残日数の40%(再就職手当の給付率が70%だった場合は30%)が上限でした。改正で上限が半分になったため、賃金の下がり幅が大きい人ほど「差額の計算どおりにはもらえず、上限額で決まる」ケースが増えています。

申請期間は2か月しかない

申請期間は再就職した日から6か月経過した日の翌日から2か月間です。申請書は再就職手当の支給決定通知書とともにハローワークから郵送されてきます。必要書類は、就業促進定着手当支給申請書、雇用保険受給資格者証、就職日から6か月間の出勤簿の写し、同期間の給与明細または賃金台帳の写しの4点です。勤務先から6か月分の書類をそろえてもらう必要があるので、6か月が経つ前に依頼しておくと間に合いやすくなります。

対象外になるケースもはっきり決まっています。①起業により再就職手当を受給した場合、②6か月経過前に再就職先で雇用保険の被保険者資格を喪失した場合(事業主都合の出向等を含む)、③離職前の賃金日額が下限額(3,203円)の場合は、再就職後の賃金がそれを下回ることがないため対象になりません。

まとめ

参考・出典

この記事は2026年8月時点の制度に基づく一般的な解説です。基本手当日額とその上限額は毎年8月1日に改定されます。また記事中の試算は当サイトの計算式による概算であり、実際の支給額は失業の認定を受けた日数や離職理由の認定などによって異なります。個別の判断は最寄りのハローワークにご確認ください。